鉄道輸送とは?鉄道輸送を利用するメリットから課題まで解説
物流業界においてもカーボンニュートラル実現のために、CO2排出量削減への取り組みが進んでいます。環境負荷が少ない輸送手段として、トラックから鉄道・船舶を活用した輸送への切り替えに注目が集まっています。
そこで今回は、鉄道輸送の概要を解説するとともに、輸送コンテナの種類や鉄道輸送を利用するメリット、課題について詳しく紹介します。
目次[非表示]
- 1.鉄道輸送とは?
- 2.鉄道輸送の特徴
- 3.鉄道輸送で利用されるコンテナの種類
- 3.1.12フィートコンテナ
- 3.2.31フィートコンテナ
- 3.3.その他のコンテナ
- 4.日本の鉄道貨物輸送量の現状
- 5.鉄道輸送を利用するメリット
- 5.1.CO2排出量削減につながる
- 5.2.トラックの長距離輸送の削減につながる
- 5.3.安定した輸送につながる
- 6.鉄道輸送を利用する上での課題
- 6.1.貨物の積み替え作業の発生
- 6.2.リードタイムの延長
- 7.鉄道・船舶・トラックの輸送サービスなら「三菱倉庫」
鉄道輸送とは?
鉄道による貨物輸送には、コンテナ輸送と車扱(しゃあつかい)輸送の2つがあります。
コンテナ輸送では、トラック輸送と組み合わせながら、集荷元から配送先までコンテナ内の貨物を積み替えることなく一貫して輸送します。
車扱輸送では、タンク車などの貨車を1両単位で貸し切って輸送します。かつては、鉄道輸送の中心であり、石炭や石油だけなく、農産品や工芸品も取り扱っていましたが、産業構造の変化やコンテナ輸送への転換が進んだ結果、車扱の輸送量は大幅に減少しました。
鉄道輸送の特徴
鉄道輸送の特徴として「長距離・大量輸送」が挙げられます。
日本の鉄道輸送の大部分は、日本貨物鉄道株式会社(JR貨物)が担っています。
同社におけるコンテナの平均輸送距離は900㎞以上で、中長距離帯の輸送を得意としています。現在コンテナ車を最大で26両連結した列車が運行されており、標準タイプのコンテナ(5トン積み)を130個・最大650トン輸送することが可能です。
また、貨物列車は24時間体制で時間に正確な運行管理が行われています。
なお、鉄道輸送は、地域によって使用されている機関車に違いがあります。
車両 |
愛称 |
走行地域 |
EF210形式 |
ECO-POWER桃太郎 |
東海道・山陽線や首都圏各線区 |
EH200形式 |
ECO-POWERブルーサンダー |
上越線などの勾配線区が中心 |
M250系 |
スーパーレールカーゴ |
東京ー大阪間 |
EF510形式 |
ECO-POWERレッドサンダー |
日本海縦幹線が中心 |
EH500形式 |
ECO-POWER金太郎 |
首都圏から北海道間、九州北部 |
DF200形式 |
ECO-POWERレッドベア |
北海道内 |
参考:国土交通省「貨物鉄道輸送の特性と国内貨物輸送における鉄道の役割」
参考:国土交通省「車両紹介」
鉄道輸送で利用されるコンテナの種類
鉄道輸送では、貨物の性質・形状・物量・輸送温度・荷役作業などを考慮してさまざまなコンテナが使用されています。
12フィートコンテナ
鉄道コンテナの中で最も代表的なものが12フィートコンテナです。
側面の両側が開くコンテナで、内部には内張板(ベニア板)が取り付けられており、船舶輸送にも対応できるように上下に隅金具が装備されています。
他にも、果物の輸送時に使用される通風コンテナ、かさ高貨物の輸送に適した背高コンテナ(通常コンテナより100㎜高い)が使用される場合もあります。
11型パレット(1,100mm×1,100mm)は6枚積載可能です。
一般的な12フィートコンテナの仕様は以下のとおりです。
長さ |
幅 |
高さ |
|
内寸 |
3,635㎜ |
2,275㎜ |
2,245㎜ |
外寸 |
3,715㎜ |
2,450㎜ |
2,450㎜ |
容積 |
18.6㎡ |
||
積載重量 |
5t |
31フィートコンテナ
31フィートコンテナは、大型トラック(10トントラック)と同等の積載量のコンテナです。
荷主企業の輸送単位を変更することなく使用できるコンテナとして2012年より導入され、大型トラックの代替輸送手段として注目されています。
大型トラックと同様に11型パレット(1,100mm×1,100mm)が16枚積載でき、ウィング仕様のコンテナの場合、両側面からフォークリフトで荷役が可能です。
31フィートコンテナの仕様は以下のとおりです。
レギュラータイプ |
背高タイプ |
|
長さ(内寸) |
9,245㎜ |
9,245㎜ |
幅(内寸) |
2,310㎜ |
2,350㎜ |
高さ(内寸) |
2,210㎜ |
2,360㎜ |
容積 |
47.2㎡ |
51.3㎡ |
積載重量 |
13.2t |
10t |
その他のコンテナ
その他、貨物の特性に合わせたコンテナもあります。
●20フィートコンテナ
●冷凍コンテナ
●冷蔵コンテナ
●ISOタンクコンテナ
●オープントップコンテナ
参考:国土交通省「我が国における鉄道を利用した国際海上コンテナ輸送に係る現状の把握」
参考:日本貨物鉄道株式会社「貨物鉄道のサービス向上・利用促進に向けた課題と取組み」
日本の鉄道貨物輸送量の現状
経済産業省の「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」によると、2020年の国内貨物のモード別輸送(トンキロベース)割合は、自動車が約50%、内航海運が約40%、鉄道の占める割合は全体の5%程度でした。
また、2022年の「世界主要国の鉄道貨物輸送量国際比較統計・ランキング」を見てみると、1位は中国、続いて、ロシア・アメリカ・オーストラリア・カナダと続き、日本は第17位です。先進国の中でもイギリスに次ぐ2番目に低い結果となっています。
●アメリカ:3位
●カナダ:5位
●ドイツ:8位
●フランス:12位
●イタリア:13位
●日本:17位
●イギリス:20位
参考:GLOBAL NOTE「世界主要国の鉄道貨物輸送量国際比較統計・ランキング」
鉄道輸送を利用するメリット
鉄道輸送を利用するメリットは以下の3つが考えられます。
CO2排出量削減につながる
国土交通省によると、2022年度の日本国内のCO2排出量のうち、運輸部門が占める割合は18.5%です。
内訳は以下グラフの通りです。
鉄道輸送のCO2排出量は、船舶の約1/2、トラックの約1/10であり、環境負荷が少ない輸送手段のひとつといえます。
参考:公益社団法人全国通運連盟「鉄道コンテナ輸送 総合ガイドブック」
トラックの長距離輸送の削減につながる
鉄道輸送は最大で大型トラック65台分の貨物を一度に運ぶことができるので、トラックによる長距離輸送の削減につながる輸送手段です。
2024年4月以降、働き方改革関連法の施行によりトラックドライバーの時間外労働の上限が規制され、ドライバー1人あたりの走行距離が短くなり、長距離での輸配送が難しくなりました。いわゆる2024年問題です。
また、公益社団法人鉄道貨物協会によると、2028年には27万人以上のドライバーが不足する見込みであり、貨物が運べない危機に向けて対策を講じる必要があります。
鉄道輸送は長距離輸送の削減だけでなく、労働力不足の解消にもつながります。
参考:公益社団法人鉄道貨物協会「平成 30 年度本部委員会報告書【モーダルシフトで子供たちに明るい未来を】」
安定した輸送につながる
日本の鉄道は、運行ダイヤに基づいて正確に走行するため、安定した輸送手段になっています。
コンテナを取り扱う貨物駅は、北海道から九州まで全国約140ヶ所設置されており、毎日約400本もの列車が走行しています。たとえば大阪から東京までの所要時間は8時間です。
ただし、強風や大雨、積雪といった天候による影響を受ける懸念があります。運行が停止する可能性を予め考えておくことが大切です。
参考:公益社団法人全国通運連盟「鉄道コンテナ輸送が選ばれる理由」
鉄道輸送を利用する上での課題
鉄道輸送にはさまざまなメリットがありますが、利用する上での課題として以下の2つが挙げられます。
貨物の積み替え作業の発生
トラック輸送では、集荷時と配達時に貨物の積み卸しが行われます。一方鉄道輸送では、トラックから鉄道コンテナへの貨物の積み替えが発生する可能性があります。
貨物が多ければその分作業が増え、貨物の移動に時間を要します。また、作業員の負担を軽減する対策が必要です。
リードタイムの延長
鉄道輸送は定時で決められた路線を運行するため、トラック輸送と比較すると、リードタイムが延長する可能性もあるので、発荷主と着荷主の協力が必要です。
また、台風や大雨、大雪などの天候の悪化により、線路に障害が発生すれば、復旧までに時間を要する場合もあります。
鉄道・船舶・トラックの輸送サービスなら「三菱倉庫」
今回は、鉄道輸送の仕組みやメリット、課題について解説しました。
トラック輸送と比較すると、CO2排出量の削減につながるだけでなく、安定した輸送ができる点が鉄道輸送のメリットです。ただし、貨物の積み替え作業やリードタイムの延長といった課題もあります。
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