EC物流とは?業務の課題や解決策を解説
オンラインショップなどでの取引拡大にともない、EC物流の需要が高まる一方で、課題も増えています。
今回は、EC物流の概要・業務の流れ・EC物流が抱える課題を解説します。
業務の効率化や課題解決の方法も紹介しますので、EC物流について詳しく知りたい方は、ご参考にしていただければと思います。
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目次[非表示]
- 1.EC物流とは?
- 2.EC物流の業務の流れ
- 2.1.入庫、検品
- 2.2.保管・管理
- 2.3.ピッキング、流通加工
- 2.4.梱包
- 2.5.出荷
- 3.EC物流の主な特徴とは?
- 3.1.少量出荷で配送先が多い
- 3.2.梱包に独自性を持たせられる
- 3.3.返品対応が発生しやすい
- 4.EC物流の課題とは?
- 5.EC物流の課題を解決する方法
- 5.1.ECカートシステムとWMSの連携による効率化
- 5.2.作業オペレーションの見直し
- 5.3.ロボットなどの技術導入
- 5.4.EC物流事業者への外部委託
- 6.まとめ:EC物流の業務の効率化を進めよう
- 6.1.EC物流に悩んだら三菱倉庫へ
EC物流とは?
EC物流は、通販やオンラインショップに特化した物流プロセスのことです。
EC物流には、商品の保管・流通加工・梱包・配送などのほか、商品の入荷やオーダー管理、返品の対応なども含まれます。現在は、自社サイトやモール型サイトと店舗を組み合わせて販売事業を行う企業も増えています。
ECが一般消費者向けサービスとして日本国内に本格的に登場したのは、1990年代後半です。初期はカタログ通販やパソコンからアクセスするネット通販が主流でした。その後、生活様式の変化に伴い、消費者の行動も多品種・少量消費に変化しました。
さらにスマートフォンの普及により、「いつでも」「どこでも」買い物が可能になり、商品の受取方法も、自宅だけでなく、近くの店舗やコンビニ、ロッカーなど生活スタイルに合わせて選べるようになりました。
国土交通省の「電子商取引に関する市場調査」「宅配便等取扱個数の調査」によると、EC市場規模(物流系分野)は2016年の時点では約8兆円でしたが、2021年には13兆円以上にまで拡大しています。また、宅配便の取り扱い実績は約9.3億個増加しました。
EC市場規模は今後も拡大が予想されており、EC物流の需要は高まっています。
参考:国土交通省「令和4年度 宅配便等取扱個数の調査及び集計方法」
EC物流の業務の流れ
ここからは、EC物流の業務内容と流れを見ていきましょう。
入庫、検品
ECサイトで商品を販売するためには、メーカーや卸売業者から商品を仕入れて在庫管理する必要があります。
ECサイトで販売する商品・製品は、まず倉庫などの決められた保管場所に入庫されます。発送元、商品・製品の種類、個数などの確認と記録は入庫時の大事な作業です。より正確かつ迅速な業務遂行のために、入庫伝票の電子化、バーコードスキャンによる在庫情報の確認などが行われています。
また、入庫した商品・製品に問題がないか確認するための検品作業も必要です。目視での検品だけではなく、重量の測定や内容物の欠損などを細かく確認します。
検品においても、効率化や高精度化のために、AIカメラによる自動検知システムも導入されています。
保管・管理
検品が終わった商品・製品は、種類ごとに倉庫内の所定の棚で保管・管理が行われます。商品・製品の大きさや種類に合わせて、平置き・ラック・棚など、さまざまな保管方法があります。温度や賞味期限などを管理し、品質を維持していくことが不可欠です。
迅速に出荷作業を遂行するためには、どこにどの商品があるのか、ロケーションを一元管理することが重要です。
ロケーション管理に努めることで、後述するピッキングにかかる時間の短縮やエラーの防止につながります。
ピッキング、流通加工
ECサイトで商品の注文が入ると、その指示に従って商品を取り出すピッキング作業が行われます。ECでは注文から配送までのスピードが重視されています。そのスピード感に対応するために、ロボットによるピッキング作業の自動化が進んでいます。
ピッキング後にも、品質・数量・配送先などに間違いがないか確認するための検品が行われます。
また、注文内容に応じて、小分けの梱包、ラベル貼り、荷札付け、組み立て、ラッピングなどの流通加工が必要になる場合があります。
梱包
配達途中で商品が欠損しないように、段ボールや緩衝材などを使って梱包し、必要に応じてチラシやノベルティなども同封します。
梱包後、宛名シールを発行し、送り先に間違いがないかしっかり確認して貼付します。
出荷
商品・製品を配達する運送業者に梱包した荷物を引き渡します。
配達地域や時間帯によって、集荷の時間が異なる場合があるので、事前に段取りをして出荷準備を行います。
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EC物流の主な特徴とは?
ここからは、EC物流の特徴について詳しく紹介します。
少量出荷で配送先が多い
EC物流は、主に個人向けに商品を提供するBtoCと、企業間取引のBtoBがあります。BtoCは配送先の数が非常に多い反面、一回ごとの物量は少ないという特徴があります。
また、ECサイトや購入者のいる地域に応じて配送時間や料金が異なるため、管理が煩雑になりがちです。
商品管理や出荷準備に問題があると、誤配送や不良品の発生につながり、顧客からの信頼を失うことになるので、注意が必要です。
梱包に独自性を持たせられる
EC物流では、梱包や同梱物を工夫することで独自の特徴を出すことができます。
たとえば、自社のロゴが入ったオリジナルデザインの梱包材を使用すれば、競合と差別化でき、ブランドやショップの認知度も上がります。
また、化粧品や健康食品など定期購入の場合、購入回数や会員ランクに応じてクーポンやノベルティを同封するなどの個別対応も可能です。
季節に合わせてギフト用のラッピングに使う梱包材を変えるのも、独自性を持たせるアイデアです。
返品対応が発生しやすい
ECサイトで商品を購入する場合、サイト内の写真や文章による情報から購入するかどうかを決めることになります。商品が届くまで実物を見ることができないため、返品や交換の対応が発生しやすいのもEC物流の特徴です。
返品や交換の対応は販売者側のミスで生じることもあります。「返品や交換に時間がかかる」「対応が不適切である」といった場合、ショップのイメージ低下や購入者からのクレームにつながるので、適切かつ迅速な対応が大切です。
また、EC事業を成長させていくためには、これまで対応してきた返品や交換の理由を分析することで、商品の品質改善やサービス向上に取り組むことも重要です。
EC物流の課題とは?
EC物流は需要が高まっている一方で、さまざまな課題を抱えているのが現状です。
具体的にどのような課題があるのか、ここで詳しく解説します。
作業員の確保
労働生産人口は減少しており、EC物流でも人手不足は深刻な課題です。作業員が不足している場合、「受注量が増加した際に入出荷の対応が追い付かない」「出荷作業のミスや遅延が増える」といったリスクが高まり、顧客満足度の低下につながる可能性が高まるので、注意が必要です。
また、EC物流においても繁忙期と閑散期を考慮する必要があります。特に、季節性波動が激しい商品を取り扱っている場合、出荷量の増減で出荷業務の負荷も変わってきます。閑散期は問題なく対応できていても、繁忙期は人手が足らず、発送の遅延などのトラブルが頻発する恐れがあります。
繁忙期に合わせて人材を雇用すると、閑散期はコスト負担が大きくなるので、繁忙期と閑散期の差が激しいほど、人員のコントロールが難しいといえます。
作業ミスの防止
EC物流にはさまざまな作業工程があるため、作業ミスの防止も重要な課題です。出荷までの工程にミスがあると、返品や交換の対応が発生します。
また、EC物流では、セキュリティ面にも注意が必要です。たとえば、宛先を間違った場合、第三者に個人情報が流出してしまうことになります。
作業ミスを個人だけで防止することは限界があるため、マニュアルやシステムなどを導入し、ミスが起こりにくい仕組みを作ることが大切です。
在庫管理の効率化
BtoCが中心のEC事業では、顧客のニーズに応えられるように幅広い商品を取り扱っています。
商品のラインナップが多いほど、在庫管理が煩雑になる傾向があります。特にサイズやカラーの数が多い商品ほど、管理に手間がかかり、作業ミスにつながります。
また、在庫をタイムリーに管理できないと、余剰在庫や在庫不足という事態を招く恐れがあります。余剰在庫は無駄なコストを生み、在庫不足は販売機会を失うというデメリットに直結します。
経営の視点からも、在庫管理を効率化することが求められます。
リードタイムの短縮
ECの場合、必要なものや欲しいものをいつでも簡単に購入できるので、顧客が希望するタイミングに合わせて商品を届けることが重要です。
商品発注から納品されるまでの時間・日数(リードタイム)を短縮するためには、全体最適を考えながら、物流作業を効率化することがポイントです。
しかし、設備や人員などの追加リソースを必要とするため、対応しきれていない企業が多いのが現状です。
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EC物流の課題を解決する方法
EC物流には多くの課題がありますが、拡大する需要に対応していくためには事業状況に応じて効率化を進めていく必要があります。
ここでは、業務の効率化につながる方法をご紹介します。
ECカートシステムとWMSの連携による効率化
ECカートシステムと倉庫管理システム(WMS)を連携させることで、欠品・品薄や在庫過剰を防止することができます。
たとえば、ECカート内には、購入する商品の情報が一時保存されています。そのため、在庫情報と連動していないと適切な在庫数が表示されず、購入者は品切れと気付かないまま購入手続きに進んでしまう可能性があります。
しかし、倉庫の在庫管理や出荷作業を効率的に行うWMSなどの情報システムと連動させることで、リアルタイムの在庫情報をカートに反映することが可能です。また、カートに保存されている情報をもとに、品薄を防ぎながら在庫管理ができます。
作業オペレーションの見直し
今までの作業手順を見直すことで、改善できるポイントを見つけ、無駄な工程を省くことが大切です。たとえば、複雑な作業を単純化することが挙げられます。
複雑な作業ほど、経験が必要であり、属人化する恐れがあります。作業を単純化することで、経験が浅い人でも一定の品質を保ちつつ、効率的に作業を行うことが可能です。
特にミスが起きやすい業務・属人化しやすい業務は単純化を図り、マニュアルも用意して誰でもできるようにすることが有効です。
ロボットなどの技術導入
物流ロボットなどの技術導入も効率化に有効です。
たとえば、倉庫内では、ピッキングや梱包などの作業を自動化することが可能です。また、商品を作業場まで自動搬送することで、作業時間の短縮にもつながります。
他にも、輸配送では、AIを搭載したロボットやドローンを活用も検討されています。
将来的に、ガイドラインの策定やインフラの整備が進むと、過疎化している地域や山間部にも効率よく荷物を配送できるようになる可能性が高いです。
EC物流事業者への外部委託
EC事業のメリットとして、幅広い商品を取り扱うことで実店舗より多くの商品を出荷できることが挙げられます。
しかし、大量の商品を取り扱うとなると、人的リソースが足りず、配送業務に支障が出やすくなります。
その場合、EC物流の業務を外部委託する方法も考えられます。部分的な業務から物流業務全体まで事業状況に応じて委託が可能です。
まとめ:EC物流の業務の効率化を進めよう
今回は、EC物流の概要・業務の流れ・EC物流が抱える課題を紹介しました。
ECの市場規模は拡大傾向にあり、それに伴いEC物流の需要も増えています。その反面、人手不足や作業の効率化などさまざまな課題があります。
これらの課題を解決するためには、システムやロボットの活用、作業オペレーションの見直しなどで業務の効率化を図っていく必要があります。
EC物流に悩んだら三菱倉庫へ
EC物流の外部委託を検討している方は、三菱倉庫にご相談ください。
三菱倉庫は、130年以上の実績と豊富な物流ノウハウを活かし、お客様に合わせたEC物流の体制づくりに対応できます。たとえば、料金は従量課金制となっているため、商品単位や月単位で費用を管理できます。
三菱倉庫のEC物流について詳しく知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。
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