(弁護士監修)【解説】「物流関連2法(流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法)の一部改正」について



政府は2024年2月13日に「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案」を閣議決定しました。その後、国会で可決・成立し、改正法が同年5月15日に公布されています。施行日は一部例外を除き、公布日から1年以内になるため、2025年5月までには施行される可能性が高いです。

 
今回は、法改正が行われた背景や法改正の概要、法改正による目標とKPIについて紹介します。


目次[非表示]

  1. 1.法改正が行われた背景
  2. 2.法改正が実施される2つの法律の概要
    1. 2.1.流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(物流総合効率化法)
    2. 2.2.貨物自動車運送事業法
  3. 3.法改正の概要を3つのポイントから解説
    1. 3.1.荷主・物流事業者に対する規制 【物流総合効率化法】
    2. 3.2.トラック事業者の取引に対する規制 【貨物自動車運送事業法】
    3. 3.3.軽トラック事業者に対する規制 【貨物自動車運送事業法】
  4. 4.法改正による目標とKPI
  5. 5.まとめ:法改正の概要を理解して、物流環境の整備を進めよう



法改正が行われた背景


法改正の背景にあるのは、2024年問題です。

トラックドライバーの働き方改革に関する法律が適用される一方、国民の生活に欠かせない物流が停滞するリスクが懸念されています。何も対策を講じなければ、2024年度には14%、2030年度には34%の輸送力不足の可能性があります。

 
物流事業者のみならず荷主企業消費者も協力し、物流環境の整備に向けた総合的な対策として、「商慣行の見直し」「物流の効率化」「荷主・消費者の行動変容」が必要です。

 
また、EC市場の拡大により、軽トラック運送業の需要が増えため、事故件数も増加し、安全対策が必須となりました。

 
こうした目的が今回の法改正につながっています。


参考:国土交通省「物流革新に向けた政策パッケージ」の取組状況について」

参考:国土交通省「事業用軽貨物自動車の事故の特徴」


  物流の2024年問題│背景や業界への影響と取るべき解決策を解説 物流業界では働き方改革関連法の施行により、労働環境の改善が期待されている一方で、施行にともなってさまざまな問題が起こり得るといわれています。どのような問題が起こり得るのか事前に把握しておきましょう。 三菱倉庫株式会社




法改正が実施される2つの法律の概要


今回法改正が実施されるのは、「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(物流総合効率化法)」と「貨物自動車運送事業法」の2つです。改正内容をご紹介する前に、まずは2つの法律がどのような法律なのかを解説します。


流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(物流総合効率化法)


「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」は、事業者や法人などが連携して、流通業務の総合化及び効率化を促進する事業を支援する法律です。
「総合化」は主に輸送や保管、荷捌き、流通加工などを一体的に行うことを指します。

 
支援対象になる流通業務総合効率化事業は以下のとおりです。
 
●輸送網の集約
●輸配送の共同化
●モーダルシフト

 
総合効率化計画の認定を受けることで、以下のような支援措置を受けられます。
 
●事業の立ち上げや実施の促進
●必要な施設や設備に対する支援
●金融支援
●鉄道・運輸機構による支援

 
総合効率化計画の認定を受けるためには、以下の認定基準を満たす必要があります。
 
●基本方針に沿って適切に計画が立てられている
●流通業務総合効率化事業を確実に遂行できる
●各事業法が定めている欠格事由には当てはまらず、また許可・登録基準などに適合している
●営業倉庫の場合、特定流通業務施設を整備する際に主務省令で定める基準に適合している


貨物自動車運送事業法


「貨物自動車運送事業法」とは、貨物自動車運送事業の運営が適正かつ合理的に行われるよう定められた法律です。
貨物自動車運送に関する法律や措置を遵守するために、民間団体の自主的な活動を促して輸送の安全性の確保や、貨物自動車運送事業の健全な発達と公共福祉の増進をサポートすることも目的としています。

 
貨物自動車運送事業法は、以下3つの事業に対して定められています。
 
【一般貨物自動車運送事業】
他人の要求に応じ、運賃をもらうことで貨物の運送を行う事業です。トラック運送業などはこの事業に当てはまります。
 
【特定貨物自動車運送事業】
特定の人からの要求に応じ、運賃をもらうことで貨物の運送を行う事業です。一般貨物とは異なり、荷主が特定されています。たとえば、メーカーや商社など特定の企業の荷物だけを運ぶ系列会社はこの事業に当てはまります。
 
【貨物軽自動車運送事業】
他人の要求に応じ、軽自動車や125ccを超える自動二輪車で貨物を運送し、運賃を受け取る事業です。主に個人向けの荷物を届ける場合や、比較的サイズの小さい貨物を運送する場合がこの事業に当てはまります。


法改正の概要を3つのポイントから解説


法改正の概要を3つのポイントに分けて解説していきます。


荷主・物流事業者に対する規制 【物流総合効率化法】


荷主(発荷主・着荷主)物流事業者(トラック、鉄道、港湾運送、航空運送、倉庫)に対して物流を効率化させるために取り組むべき措置に関する努力義務を課しました。
取り組むべき措置はさまざま考えられますが、たとえば、荷役作業にパレットを導入することでの荷役時間の短縮などが挙げられます。

 
措置が行われているかどうかを判断するための基準は国が策定します。国は策定した判断基準に基づき、荷主と物流事業者に対して取り組み状況の確認を行い、指導や助言調査内容の公表なども実施されます。

 
また、一定規模以上の荷主と物流事業者を「特定事業者」に指定し、中長期計画の作成や定期報告などを義務付けました。中長期計画に基づいた取り組みが不十分と判断された場合、勧告及び命令措置が行われるので注意が必要です。

 
さらに特定事業者のうち、荷主は物流統括管理者の選任が義務付けられます。

 
なお、「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」は、名称が「物資の流通の効率化に関する法律」に変更されます。


トラック事業者の取引に対する規制 【貨物自動車運送事業法】


今回の法改正では、元請事業者に対して実運送事業者の名称などが記載された「実運送体制管理簿」の作成を義務付けました。

 
さらに、運送契約を締結する際に、提供する役務の内容や附帯業務料・燃料サーチャージなども含む対価などを記載した書面による交付などを義務付けています。

 
また、多重下請け構造の是正を図るため、他の事業者へ運送の下請けを行う場合、利用の適正化について努力義務を課します。一定規模以上の事業者に対しては、適正化に関する管理規定の作成管理者の選任などを義務付けました。

 
なお、書面交付の義務運送利用の適正化の努力義務は、下請関係に入る利用運送事業者にも適用される予定です。


軽トラック事業者に対する規制 【貨物自動車運送事業法】


軽トラック事業者に対する規制は、ここ数年で増加している事故発生を防ぐという目的があります。

 
まず、事業者に対して必要な法令などの知識を担保するための管理者を選任し、講習を受講させます。さらに、国土交通大臣へ事故報告を行うことも義務付けます。

 
また、国土交通省による公表対象に、軽トラック事業者の事故報告や安全確保命令に関する情報なども追加されます。



法改正による目標とKPI


今回の法改正の目標・効果は「物流の持続的成長」ですが、行政として2つのKPI(重要業績評価指標)を設定しています。このKPIは2019年度のデータと比較して設定されており、施行後3年での達成を目指しています。
 
荷待ち・荷役時間の削減1人あたり年間125時間の削減
積載率の向上による輸送能力の増加16%増加

 
荷待ち時間が削減されると、荷物を運送するスピードも速くなり、効率的な運送を実現できます。
しかし、国土交通省が発表した「トラック輸送状況の実態調査結果」によると、実運送事業者のうち、約69%が荷待ち時間の発生を把握していると回答がありました。
 
積載率を向上させるためには、共同配送や運行管理の把握などが重要です。

 
参考:国土交通省「トラック輸送状況の実態調査結果(概要版)」


まとめ:法改正の概要を理解して、物流環境の整備を進めよう


​​​​​​​今回は、「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案」について紹介しました。この改正案は国会ですでに可決・成立し、2024年5月15日から公布されています。
今回の記事を参考に法改正の概要を理解した上で、対策を考えておくことが求められます。

 
三菱倉庫が提供する物流サービスは、荷主企業や消費者の様々な課題の解決を支援しています。
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物流環境の整備に向けた総合的な対策は三菱倉庫にご相談ください。


  物流サービス一覧 | 三菱倉庫株式会社 三菱倉庫は、倉庫保管、国内輸送、フォワーディング、物流DXなどの物流サービスをグループ全体で提供しています。産業別に特化した物流拠点の構築・運営、持続可能な物流を目指す輸配送、グローバルサプライチェーンの最適化、物流支援サービスの開発など。 三菱倉庫株式会社


  【監修】  
幸谷泰造弁護士(市ヶ谷東法律事務所所属)


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