物流とは?6大機能、物流業界の種類、物流業界の課題についても解説



​​​​​​​私たちの生活に欠かせないものとなっている物流は、例えば商品や製品などを生産者から消費者に届けるモノの流れを指します。しかし単純にモノを輸送するだけでなく、保管、在庫管理、包装なども物流に含まれます。
 
そこで今回は、物流に関する基礎知識について解説します。また、物流の6大機能や物流業の種類、物流業界の課題についても詳しくご紹介します。

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目次[非表示]

  1. 1.物流とは?
  2. 2.物流業とは?
  3. 3.物流の6大機能
    1. 3.1.保管
    2. 3.2.荷役(にやく)
    3. 3.3.流通加工
    4. 3.4.包装
    5. 3.5.輸配送
    6. 3.6.情報システム
  4. 4.物流業界の課題
    1. 4.1.BCP対応
    2. 4.2.物流の効率化
    3. 4.3.2024年問題
  5. 5.まとめ:物流業界の課題は社会全体で取り組む必要がある
    1. 5.1.【PR】三菱倉庫の物流サービス



物流とは?


物流という言葉は、アメリカのPhysical Distributionの考え方に由来し、1960年代に旧通産省において物的流通として、「製品を生産者から最終需要者に移転する活動をいい、具体的には包装・荷役・輸送・保管及び通信の活動からなる」と定義されました。
 
現在のJIS規格においては「物資を供給者から需要者へ、時間的及び空間的に移動する過程の活動」と定義されています。
 
そもそも日本では、江戸時代より河川や海からの輸送を中心に物流システムが確立されました。明治時代からは鉄道輸送が発達し、さらに戦後は東京オリンピック・大阪万博の開催に伴い、交通網が整備されたことでトラックでの輸送がメインとなりました。
 
物流の役割は、生産から消費に至るまでの「時間」と「空間」のギャップをなくすことです。生産された商品はすぐに消費者のもとに届くわけではありません。倉庫での保管や輸配送を経て、適切なタイミングで小売店に納品され、商品を購入することができるようになります。


物流業とは?


日本標準産業分類では、「物流業」という業種はなく、「運輸業」と「郵便業」に分類されます。
その中で、以下の8項目に細かく分類されています。
 
●鉄道業
●道路旅客運送業
●道路貨物運送業
●水運業
●航空運輸業
●倉庫業
●運輸に附帯するサービス業
●郵便業(信書便事業を含む)
 
物流業」として、一般的に大きく「運送業」と「倉庫業」の2種類に分けることができます。
運送業は、主にトラックや貨物列車、船舶、飛行機など、あらゆる交通手段を使ってモノの輸送を行います。一方、倉庫業荷主からの寄託を受け、モノの保管や入出荷などを行います。

また、物流に関連する言葉として、「商流」「流通」「ロジスティクス」「サプライチェーン」などがあります。

物流

モノの流れ

商流

所有権・お金の流れ

流通

物流と商流を合わせたモノ・所有権・お金などの流れ

ロジスティクス

モノを届けるまでの流れを一元管理する仕組み

サプライチェーン

調達・生産・流通・消費における企業間や企業内のロジスティクスの連鎖


物流は、モノの流れを指しており、商流所有権やお金の流れを指します。たとえば、生産者~小売店~消費者へとモノが移動する際、物流はモノの物理的な流れ、商流は取引上での権利やお金の流れになります。
物流と商流を合わせて流通といわれます。
 
企業活動において、必要な商品や物資を、適切な時間・場所・費用・数量・品質で供給するために、的確な在庫管理・時間管理が重要です。
このとき求められるものが商流と物流の機能であり、商品や顧客の「情報」として統合されます。これを一元管理するのがロジスティクスです。
 
そして、調達・生産・流通・消費における企業間や企業内のロジスティクスの連鎖をサプライチェーンといいます。
 
このように、サプライチェーン・ロジスティクス・流通においても物流は重要な構成要素です。






物流の6大機能


物流は保管荷役流通加工包装輸配送情報システムの6つの機能で構成されています。


保管


保管とは「貨物を一定の場所において、品質、数量の保持など適正な管理の下で、ある期間蔵置すること」(JIS規格)と定義されます。
 
物流の役割は、生産から消費に至るまでの「時間」と「空間」のギャップをなくすことですが、保管を行う倉庫がその中心的な役割を果たしています。
 
例えば、工場などで生産されたモノを一時的に倉庫に保管することで、生産と販売で生じる時間のズレを解消しています。また、店舗や企業に注文が入った際、在庫がないと販売機会を失う恐れがあるため、在庫管理も保管の重要な機能です。
 
保管では、製造ロット、賞味期限、温度・湿度を管理してモノの品質を維持することが求められます。そのため自社だけでなく、外部の倉庫業者などに委託して行う場合もあります。


荷役(にやく)


荷役とは、「物流過程における物資の積卸し、運搬、積付け、ピッキング、仕分け、荷ぞろえなどの作業及びこれに付随する作業」(JIS規格)と定義されます。
 
荷役は、倉庫や物流センターにおける入出庫に関する作業を指します。
荷役に含まれている作業は以下のとおりです。
 
●積卸し
●積付け
●ピッキング
●仕分け
●荷ぞろえ
●検品
●棚入れ など
 
このように荷役は作業の範囲が広いため、物流管理における生産性・効率性などに大きく影響します。
 
しかし、荷役は物流の中でも労働災害が起きやすく、安全性には特に注意が必要です。陸上貨物運送事業での労働災害の内訳をみると、65%を荷役災害が占めています。従業員の安全性を確保し、事故を未然に防ぐための対策が欠かせません。
 
参考:陸上貨物運送事業労働災害防止協会「荷役作業安全ガイドラインのあらまし」


流通加工


流通加工は、「流通過程の倉庫、物流センター、店舗などで商品に加工すること」(JIS規格)と定義されます。
 
流通加工における作業内容は幅広く、たとえば、商品の状態を確認して不良品がないか細かくチェックする作業や、商品説明や法定表示のラベルを貼る作業などが挙げられます。他にも、ギフト用のラッピング作業や箱詰め、生鮮食品のカッティング作業も含まれます。
 
物流の付加価値として、流通加工の重要性も高まっています。


包装


包装は、「物品の輸送、保管、取引、使用などに当たって,その価値及び状態を維持するために、適切な材料、容器などに物品を収納すること及びそれらを施す技術、又は施した状態」(JIS規格)と定義されます。
 
包装は、個装内装外装の3種類に分かれ、モノに合わせて適切な包装が行われます。
 
個装は、モノを1つずつ包装していくことです。個装されたモノをさらに包装するのが内装で、内装されたモノをダンボールや木箱などに入れて包装するのが外装です。
 
包装の目的は、主に商品や製品の保護ですが、過剰包装には注意が必要です。包装を過剰にしすぎると、包装材のコストが増えたり、積載効率が悪くなる可能性もあります。安全性とコストパフォーマンスを両立させるために、新しい包装材の開発が進められています。


輸配送


JIS規格において、輸送は、「貨物をトラック、船舶、鉄道車両、航空機、その他の輸送機関によって、ある地点から他の地点へ移動させること」、配送は「貨物を物流拠点から荷受人へ送り届けること」と定義されます。
 
たとえば、工場で生産された大量の商品を物流センターに運ぶことは輸送で、物流センターから各卸問屋や小売店、消費者に届けるための移動は配送です。
 
なお、モノを輸送する手段のことを輸送モードといい、トラック輸送鉄道輸送船舶輸送航空輸送の4つに分かれます。


情報システム


物流における情報システムは、物流プロセスにおいて生じる情報を正確に把握し、効率的に一元管理することが求められます。
 
JIS規格では、物流情報システムの分野として、「物流の各機能を効率化、高度化するための機能分野」「受発注から配送、保管から在庫、更に調達及び回収の業務分野」「これらに関連した計画・実施・評価の経営過程の分野」「運輸業、倉庫業などの物流事業者と荷主との関連を含めた分野」が挙げられています。
 
代表的な情報として、商品の品質情報、各拠点の在庫状況、各業務の進捗状況などがあります。具体的には以下のような情報システムが活用されています。

倉庫管理システム

倉庫内の在庫数や商品の状態などを管理

配送管理システム

配送用の車や配送指示などを管理

輸送管理システム

輸送中の走行距離や加速減などを測定して管理






物流業界の課題


ここからは物流業界で特に注目されている3つ課題についてご紹介します。


BCP対応

 
自然災害等の緊急事態が発生した際、社会インフラである物流が機能しなくなると、経済活動が停滞し、国民生活にも影響を及ぼします。
 
そのため、緊急事態の事前対策として、多様な災害に対応した事業継続計画(BCP)が求められます。
 
国土交通省では、東日本大震災での経験を踏まえ、2015年3月に「荷主と物流事業者が連携した BCP 策定のためのガイドライン」、2023年3月には「多様な災害に対応したBCP策定ガイドライン」を作成しました。


参考:国土交通省「荷主と物流事業者が連携した BCP 策定のためのガイドライン 」 
   国土交通省「多様な災害に対応したBCP策定ガイドライン」

物流における具体的な対策としては、連絡体制の構築優先業務の確認のほか、BCPに対応した物流施設の導入などが挙げられます。
 
なお大雨・大雪などの予見可能な自然災害は、適切な対応を行うことで災害の影響を回避・軽減できる可能性があるので、荷主と物流事業者の連携が欠かせません。


物流の効率化

 
労働生産人口が減少しており、どの産業でも人手不足が深刻です。
特に物流業界の場合、「重労働のイメージを持たれている」「長時間労働が常態化している」「賃金が他の産業に比べて低い傾向がある」などが影響し、人が集まらない状況が続いています。
 
そのため物流現場では、物流DXとして機械化・デジタル化を通じて物流のこれまでのあり方を変革することが求められています。
 
具体的には、自動運転トラック、自動運航船、ドローン物流の実用化への計画策定、低速・小型の自動配送ロボットの活用による配送サービス拡充、トラックのバース予約システムの導入による受付業務の省力化、作業員の負担を減らすロボットの導入などが挙げられます。
 
更なる物流の効率化に向けて、新技術を積極的に活用しつつ、ハード・ソフト両面で物流を見直す必要があります。


2024年問題

 
2024年4月1日から、トラックドライバーの時間外労働の上限規制(年間960時間)と、改正改善基準告示の適用が開始されました
この規制によって、常態化していたドライバーの長時間労働の改善を図ろうとしています。しかし、労働時間の短縮に伴い、輸送能力の低下やドライバーの収入減少の恐れがあります。
 
また、2024年問題は、運送事業者やドライバーだけの問題ではありません。荷主や消費者が従来の輸配送サービスを受けられなくなる可能性もあります。
 
2024年問題への対策として、荷待ち時間の削減やルート最適化など業務全体の見直しが進められています。


  物流の2024年問題│背景や業界への影響と取るべき解決策を解説 物流業界では働き方改革関連法の施行により、労働環境の改善が期待されている一方で、施行にともなってさまざまな問題が起こり得るといわれています。どのような問題が起こり得るのか事前に把握しておきましょう。 三菱倉庫株式会社




まとめ:物流業界の課題は社会全体で取り組む必要がある


今回は、物流の基礎知識として、物流の6大機能や物流業の種類、物流業界の課題をご紹介しました。

物流は、経済活動や国民生活に大きく影響を及ぼす社会インフラとして注目されるようになってきました。しかし、自然災害等の緊急事態への対応や、人手不足、2024年問題など、様々な課題が浮上しています。
 
これらの課題は物流業界だけで解決できるものではなく、荷主や消費者を含め、社会全体で取り組むことが必要です。


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