3PLとは?導入するメリットや気を付けたいことを紹介
昨今、働き手の減少が社会問題となっていますが、物流業界においても人手不足は深刻な状況です。さらに、製品を保管するための物流施設やトラックなどの輸送手段の確保も必要です。
このように物流業務は多岐にわたるため、それらすべてを荷主企業だけで管理するのは大きな負担となります。
こうした物流業務での問題を解決するために3PLが導入されています。物流管理の適正化や物流品質の向上といったさまざまなメリットがあります。
そこで本記事では、3PLの概要を解説するとともに、3PL導入のメリットや気を付けたいことを紹介していきます。
物流業務において問題解決に取り組みたい方は、ご参考にしていただければと思います。
目次[非表示]
- 1.3PLとは?
- 2.3PLの2つの種類
- 3.3PLの導入による4つのメリット
- 3.1.物流管理の適正化
- 3.2.物流品質の向上
- 3.3.物流リソースの安定確保
- 3.4.コア業務に集中できるようになる
- 4.3PL導入で気を付けたいこと
- 5.まとめ:物流管理の適正化や物流品質向上のために3PLの導入を検討しよう
- 5.1.3PL事業者に悩んだら三菱倉庫へ
3PLとは?
3PLは、Third Party Logistics(サードパーティーロジスティクス)の略称です。JIS規格では、「荷主企業でも物流事業者でもない第三者が荷主のロジスティクスを代行するサービス」として定義されています。
一般的に、荷主企業をファーストパーティー、小売や消費者といった買い手をセカンドパーティーとしたとき、物流事業者がサードパーティーとして、荷主企業から物流業務を受託し、遂行するケースが多いです。
いわゆる物流機能(輸配送、保管、荷役、包装、流通加工、情報)の管理だけでなく、受発注の代行、物流ネットワークの設計、カスタマーサービスの窓口代行など、荷主のロジスティクスを包括的に遂行します。
国土交通省も、「3PL(third party logistics)とは荷主企業に代わって、最も効率的な物流戦略の企画立案や物流システムの構築の提案を行い、かつ、それを包括的に受託し、実行すること」と定義しています。
3PLの2つの種類
3PLは、アセット型とノンアセット型の2種類に分類できます。
アセット型
製品を保管する物流施設やトラックなどの輸送手段、物流管理システムといった資産(アセット)を保有している3PL事業者をアセット型といいます。
顧客となる荷主企業と直接連携して業務を行います。
物流拠点となる倉庫の業務改善やドライバーへの安全教育など、管理が行き届きやすいことが特長です。
ノンアセット型
物流施設や輸送手段といった資産を持たない事業者をノンアセット型といいます。
自社以外の倉庫会社や運送会社と連携して物流サービスを提供します。
自社の資産を持たない分、荷主企業にとって最適なサービスとして、製品の特性に合わせた保管方法や輸送手段を臨機応変に提案できます。
3PLの導入による4つのメリット
3PL導入によるメリットは以下の4つが考えられます。
物流管理の適正化
物流業務では保管、出荷、輸配送などを最適化する仕組みが重要です。
製品の生産性が向上しても、輸配送や在庫管理が適切に行われなければ、利益の損失につながります。3PL事業者は、物流業務に必要となるインフラやスタッフを適正に管理することができます。
例えば、以下のような内容が挙げられます。
●輸送するための車両の確保
●ピッキングや仕分けといった作業に関する費用
●製品や商品を保管する倉庫の確保
●倉庫を管理するための人員
●必要なシステムの維持管理 など
物流品質の向上
自社で物流業務を行う場合、物量の波動によって適正な人員が確保できず、業務遅延のリスクがあります。その結果、顧客満足度の低下に繋がる可能性もあります。
3PL事業者に物流業務をアウトソーシングすることで、人員の確保だけではなく、倉庫やトラックの調達や、在庫管理システムによるサポートも期待できます。
さらに、物流業務が平準化され、出荷オーダーから発送までの時間短縮、丁寧な梱包、ミスのない配送、納期の厳守など物流品質が向上します。
物流リソースの安定確保
新しく物流システムを構築する場合、新たな人員を確保する必要があります。しかし、教育や採用の労力・コストも発生するため、企業にとっては大きな負担となります。
特に、トラックドライバー不足は深刻です。
厚生労働省の資料によると、令和3年度の有効求人倍率は、全職業平均が1.06倍に対し、トラックドライバーは1.97倍でした。
参考:厚生労働省「自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト」
3PLを導入することで、新しい人員を確保する必要がなくなるため、リソース不足の解消にも期待が持てます。
コア業務に集中できるようになる
3PLを導入すれば、人的リソースをコア業務に注力させることができます。
複数ある物流業務を3PL事業者に一括で委託することで、物流関連の取引に関わる業務を簡素化できます。
これまで物流業務に費やしていた時間を自社製品・サービスの企画、開発、改良に充てることができ、新規顧客の獲得や事業の拡大にもつながります。
3PL導入で気を付けたいこと
ここからは、3PLを導入する際に気を付けたいことを解説していきます。
パートナーシップ構築がうまくいかない場合がある
2007年に発表された国土交通省の「3PL事業促進のための環境整備に関する調査」によると、荷主企業が3PL事業者に物流業務を委託した際の課題として、以下の4つが挙げられました。
●3PL事業者が、ロジスティクスのプロ(情報技術・サプライチェーンを俯瞰した 最適なロジスティクスの設計等)を十分に有していない。
●3PL 事業者からの提案・コンサルティングの提供ができていない。
●荷主企業の品質要望に対し、サービス品質とマネジメント力を維持できない。
●3PLサービスによる十分なコスト削減ができない。
一方、3PL業務を受託する物流事業者の課題は以下の3つが挙げられました。
●3PL事業による十分な利益捻出ができない。
●自社におけるロジスティクスのプロ(情報技術・サプライチェーンを俯瞰した 最適なロジスティクスの設計等)を十分に育成できていない。
●荷主企業からの一方的なコストダウン要求を受けている。
参考:国土交通省「3PL事業促進のための環境整備に関する調査」
3PL事業を継続するためにも、荷主企業と3PL事業者が互いに積極的なコミュニケーションを取ることが必要です。その際、定期的に問題点がないか確認するためにミーティングや会議などを実施し、物流戦略の詳細や、企業としての目的・目標値などを明確に伝えて共有することが大切です。
情報伝達や現場の管理に支障がでる可能性がある
物流業務を外部の事業者に委託する以上、荷主企業が求める製品管理基準が3PL事業者に伝わっていないといった問題が生じる可能性があります。
ノンアセット型タイプの3PL事業者の場合、自社以外の倉庫会社や運送会社を組み合わせながらサービスを提供するため、特に注意が必要です。
製品の特性や取り扱いに関する注意事項など、輸送や作業品質に関わる管理基準がうまく伝わらないケースが考えられます。また正しく伝えた内容が確実に共有され、正確に実行できるような仕組みの確立が求められます。
契約内容についても問題が発生する可能性があります。
費用や業務範囲が曖昧な契約の場合、トラブルに発展することもあります。契約を交わす段階で詳細を定め、不明な点や不透明な部分がないか双方で確認することが求められます。
緊急時の対応に遅れがでる可能性がある
物流業務では、輸送中の事故、商品の回収、代替品を出荷などイレギュラーな作業が発生する可能性があります。スムーズに対処できなければ、荷主企業の信用にも影響するため、迅速な対応が不可欠です。
しかし、こうした緊急時の対応を契約時に取り決めていないと初動が遅れてしまいます。3PLを導入する場合には、あらかじめ緊急時の対応方法を確認しておきましょう。
また、実際に物流現場に足を運び、製品の保管方法や取扱方法の確認、物流現場の状況を可視化できるようなシステムの構築など、さまざまな対策を検討することも大切です。
まとめ:物流管理の適正化や物流品質向上のために3PLの導入を検討しよう
3PLの導入により、物流管理の適正化による品質の向上に加え、物流リソースの安定確保といったメリットが考えられます。
導入には注意すべき点もありますが、荷主企業と3PL事業者がお互いにコミュニケーションを綿密に取り合うことで、トラブルを防ぐことは可能です。
3PL事業者に悩んだら三菱倉庫へ
3PLにはアセット型・ノンアセット型があり、様々な事業者がいます。どの事業者に委託すればいいか判断が難しい場合もあると思います。その際は、まずは三菱倉庫にご相談ください。
3PL事業者である三菱倉庫では、食品・飲料、自動車・機械、素材・化学品、ヘルスケアなど、産業に合わせた物流サービスを展開しています。倉庫保管や国内輸送、フォワーディングなど、物流サービスをグループ全体で提供しているため、事業展開に合わせて物流業務を委託できます。
物流課題の解決を目指したい方は、ぜひ三菱倉庫にお問い合わせください。